日本の教育が大きく変わる!
幼児期の今こそ、
「論理力」を育てよう
勉強や大学受験なんて、まだまだ先のこと…
と思っていませんか。
実は今、教育制度が変わろうとしています。
これからの世の中が必要とする学力、
そして学びについて、
教育改革に詳しい出口汪先生にうかがいました。
お話をお聞きしたのは
出口 汪 先生
大学受験の現代文トップ講師。多数の参考書がベストセラーと支持は圧倒的。「すべての土台は言語である」と考え、「論理力」育成の画期的なプログラム『論理エンジン』を開発。全国250校以上で正式採用されている。
「正解を覚えればOK」だったこれまでの日本の教育
私たち親世代は、「とにかく覚える」というスタイルでずっと教育を受けてきました。理由は江戸時代までさかのぼります。当時日本人は西洋の学問をとり入れ、必死に追いつこうとしていました。つまり、欧米にすでにある答えを翻訳して、いかにはやく覚えるかが重要だったのです。それが現代まで引きつがれた結果、実践的な英会話よりも難解な英文解釈をやらせるという本末転倒な教育となっているのです。
しかし今、現代社会が求める能力と、日本の教育は大きくかい離しています。あらゆる答えが「検索」すれば見つかるこの時代に、知識を詰め込んでも意味がありません。日本の教育は古い。明白過ぎる事実なのです。
これからは「課題解決型」の学力が求められる時代
2020年、大学入試が大幅に変わります。センター試験は廃止され、偏差値やテストの点数は、これまでのような意味を持たなくなります。お子さんが大きくなる頃、大学入試の新たな基準となるのは、「思考力」や「判断力」、「表現力」なども含めた総合的な学力なのです。
社会は、たったひとつの正解などない複雑な問題であふれています。求められるのは、物事を多面的にとらえ、最適な解決策を選びとる能力。大学入試の改革をきっかけに、日本の教育は「課題解決型」の学力を育むスタイルへと移行していきます。入試のための学力ではなく、社会に役立つ学力へ。そのことを、まずご両親がしっかりと理解しましょう。
論理力は鍛えられる。早ければ早いほど効果的
「課題解決型」学力の基盤となるのが、論理力です。それはすなわち、言葉の使い方だと私は考えています。ものを考えるのも、誰かに何かを伝えるのにも、私たちは言葉を使います。言葉を論理的に使えるかどうかが、あらゆる能力の基本なのです。
そして言葉の使い方は、センスや才能ではなく、学習や習熟によって誰でも鍛えられる後天的な能力。教えるなら年齢が低いほど効果的ですから、幼い頃から論理的に言葉を与えていけば、その後の学習効果にも大きく影響するでしょう。
日々の中で、具体的に、たくさん会話をしましょう
言葉の使い方ですから、普段の会話で体得するのがいちばん。ご両親が感情語に頼りすぎず、論理を意識して子どもに話しかけることです。
「あなただったらどうする?」「どうしてこうなったのかな?」など、子どもが答えやすいよう具体的な問いかけを行ってください。
最初は切れ切れの単語を並べるだけでも、対話の数だけ、どう話せば相手に伝わるのかを、子どもたちは少しずつ理解していきます。
- 一つひとつの会話を大切に。
豊富な言葉で語りかける - 子どもの気持ちや行動について
理由をたずねる - 子どもの話が理解できないときは
「わからない」と言う
日々の会話のポイント
親は、子どもが言いたいことを察したり、感覚で理解せず、たとえ親子であっても、筋道を立てて説明をしなければ伝わらないんだ、という気持ちを持てるように接するのがポイント。ただ、言語習得の年齢は個人差も大きいため、子どもの成長に合わせて会話してみましょう。
イラスト/三角亜紀子