「うちの子は算数が苦手かも……」「計算はできるのに、文章題になると手が止まってしまう」。そんな悩みを抱えるおうちの方は少なくありません。
算数は、前に学んだ内容を土台にしながら新しい学習へ進む「積み重ね型」の教科です。そのため、一つの単元でつまずくと、その後の学習にも影響が広がりやすく、「算数が苦手」という意識につながってしまうことがあります。
では、小学生はどのような単元でつまずきやすいのでしょうか。また、苦手意識を克服するために、家庭ではどんなサポートができるのでしょうか。
今回は、小学生が苦手になりやすい算数の6つの単元――「九九」「わり算」「小数」「分数」「速さ」「展開図」について、小学生向けワークブックを展開している小学館の「名探偵コナンゼミ」の教材担当者に訊いた、つまずきやすい理由と、家庭でできる克服方法を詳しくご紹介します。
目次
- 1 まずはチェック!小学生が苦手になりやすい算数の6単元
- 2 小学生が苦手になりやすい算数①【九九】算数の土台となる最初の関門
- 3 小学生が苦手になりやすい算数②【わり算】「逆に考える」が最初の壁に
- 4 小学生が苦手になりやすい算数③【小数】つまずきやすいのは「小数そのもの」ではなく「計算」
- 5 小学生が苦手になりやすい算数④【分数】「覚えることが多い」が苦手意識につながる
- 6 小学生が苦手になりやすい算数⑤【速さ】「公式を覚えたのに解けない」のはなぜ?
- 7 小学生が苦手になりやすい算数⑥【展開図】「頭の中で考える」より、実際に作ってみよう
- 8 算数の苦手は「できない」ではなく「つまずいている場所」があるだけ
- 9 苦手単元の克服には、自分のペースで繰り返し学べる環境づくりも大切
まずはチェック!小学生が苦手になりやすい算数の6単元
| 単元 | つまずく理由 | 克服のポイント |
| 九九 | 暗記だけで覚えようとする | 規則性を理解して毎日反復 |
| わり算 | 逆算・筆算で混乱 | 手順を繰り返し練習 |
| 小数 | 小数点の位置 | 概算と筆算の確認 |
| 分数 | 覚えることが多い | 毎日少しずつ演習 |
| 速さ | 公式の意味が曖昧 | 道のり=速さ×時間を理解 |
| 展開図 | 立体を想像しにくい | 紙で組み立てる |
小学生向けワークブックを展開する、小学館の名探偵コナンゼミ教材担当者によると、小学生が特につまずきやすいとされる単元は、この6つ。
「もちろん苦手な単元には個人差がありますが、どの単元もその後の学習につながる大切な内容ばかり。早めに苦手を見つけて復習しておくことで、学年が上がってからの学習もぐっとスムーズになります」――名探偵コナンゼミ教材担当
小学生が苦手になりやすい算数①【九九】算数の土台となる最初の関門
九九は小学2年生で学ぶ単元ですが、その後の算数を支える”土台”ともいえる重要な学習です。
3年生で学ぶわり算はもちろん、小数や分数の計算、図形の面積や体積など、高学年になるほど九九を使う場面は増えていきます。そのため、九九があやふやなまま学習を進めてしまうと、「計算に時間がかかる」「文章題になると手が止まる」といった新たなつまずきにつながることも少なくありません。
「九九は覚えたはずなのに、しばらくすると忘れてしまう」「6の段や7の段になると急に答えられなくなる」というお子さんも多いのではないでしょうか。
九九は暗記だけに頼らないことが大切!
「九九は6の段あたりから難しいと感じるお子さんが増えてきます。そんなときは、3×4と4×3の答えは同じになる『交換の法則』や、『7の段は7ずつ増えていく』という規則性を思い出せるようになると、暗記だけに頼らず覚えやすくなります」――名探偵コナンゼミ教材担当
九九は「覚えるもの」というイメージが強いですが、実はかけ算の仕組みを理解することも大切です。数字の並び方や規則性に気づくことで、「覚えられない」という苦手意識が和らぐお子さんも少なくありません。

九九の練習は、家庭では「毎日少しずつ」が効果的
九九は、一度に長時間練習するよりも、毎日少しずつ繰り返す方が定着しやすいといわれています。
例えば、お風呂に入る前や夕食の準備を待つ時間などに一緒に唱えたり、「今日は7の段だけ」「逆から言ってみよう」とゲーム感覚で取り組んだりするのもおすすめです。
「全部できるようになってから次へ進む」のではなく、「昨日より一つ答えられるようになったね」と、小さな成長を認めながら続けることが、お子さんの自信にもつながります。
小学生が苦手になりやすい算数②【わり算】「逆に考える」が最初の壁に
小学3年生で学ぶわり算は、多くのお子さんが最初に「難しい」と感じやすい単元の一つです。
かけ算は「同じ数がいくつあるか」を求める計算ですが、わり算では「1つ分はいくつか」「何人に分けられるか」など、これまでとは逆の考え方が必要になります。そのため、「計算の仕方は覚えたけれど、文章題になると何算を使えばいいのかわからない」というケースも少なくありません。
さらに、筆算では「商を立てる」「かける」「ひく」「おろす」という複数の手順を順番に進めなければならず、途中で混乱してしまうお子さんも多く見られます。
わり算の苦手克服への近道は、九九の定着!
「わり算では、かけ算を使ってひき算したり、あまりが出たりして、それまで学んできた計算とは少し違う感覚が求められます。まずは九九をしっかり身につけておくこと。そして、筆算は『商を立てる→かける→ひく→おろす』という流れを、簡単な問題から何度も繰り返し練習することをおすすめします。」―― 名探偵コナンゼミ 教材担当
九九があやふやなままだと、わり算の途中で考え込む場面が増え、計算そのものが苦手だと感じやすくなります。反対に、九九がスムーズに出てくるようになると、筆算にも余裕が生まれ、考え方の理解にもつながっていきます。
特にわり算の場合、家庭では「答え」より「考え方」を一緒に確認
わり算の文章題で間違えたときは、「なんでわり算だと思ったの?」「何を求める問題だったかな?」と、お子さんの考え方を一緒に振り返ることが大切です。
また、筆算は答えだけを見て丸付けをするのではなく、「どこで間違えたのか」を一緒に確認すると、同じミスを繰り返しにくくなります。
九九の復習も取り入れながら、一つひとつの手順を丁寧に積み重ねていけば、「わり算は難しい」という苦手意識も少しずつ自信へと変わっていくでしょう。
小学生が苦手になりやすい算数③【小数】つまずきやすいのは「小数そのもの」ではなく「計算」
「小数が苦手」と聞くと、「1より小さい数」という考え方が難しいと思われがちですが、実は多くのお子さんは、小数という概念そのものではあまりつまずきません。苦手意識を持ちやすいのは、小数を使った計算が始まってからです。
たし算やひき算では小数点の位置をそろえる必要があり、さらにかけ算やわり算になると、「小数点をどこに打てばいいの?」と混乱してしまうお子さんも少なくありません。
また、「かけ算をすると答えは大きくなる」というこれまでのイメージがあるため、「3×0.8」のような計算で答えが3より小さくなることに戸惑うケースもよく見られます。
小数の計算は、計算前に”だいたいの答え”を予想してみよう
「小数の計算で大切なのは、小数点の位置を意識することです。筆算では小数点を縦にそろえたかを確認し、計算したあとに小数点をいくつ動かすのかを落ち着いて考えましょう。また、『3.2×2.8なら3×3くらい』『3×0.8なら答えは3より小さくなる』というように、おおよその答えを予想してから計算すると、間違いにも気づきやすくなります。」―― 名探偵コナンゼミ 教材担当
小数の計算は、答えを出すことだけに意識が向きがちです。しかし、「答えはこのくらいになりそう」という見通しを持つことで、計算ミスを自分で見つけられる力も育っていきます。
小数の計算は、「おおよその答え」と「最終的な答え」がだいたいあっているか一緒に確認を。
計算が終わったら、「答えは元の数より大きくなるかな?小さくなるかな?」と、お子さんに問いかけてみましょう。
例えば、1より小さい数をかけたら答えは元の数より小さくなる、1より大きい数をかけたら答えは元の数より大きくなる、といった感覚が身につくと、小数の計算への理解もぐっと深まります。
正確に計算する力だけでなく、「この答えで合っていそうかな」と考える習慣を育てることが、小数への苦手意識を減らす第一歩になるでしょう。
小学生が苦手になりやすい算数④【分数】「覚えることが多い」が苦手意識につながる
分数は、小学3年生で「1つのものをいくつかに分けた数」として学び始めます。しかし、本格的に計算を学ぶのは5年生から。通分や約分を使ったたし算・ひき算、さらに6年生ではかけ算やわり算へと発展していきます。
実は、算数の中でも「一つの単元で覚えなければならないこと」が特に多いのが分数です。
「通分と約分の違いがわからない」「帯分数と仮分数を間違えてしまう」「分数でわるとき、どうして逆数にするの?」など、次々に新しいルールが登場するため、苦手意識を持ってしまうお子さんも少なくありません。
一方で、分数は中学校の数学でも繰り返し使う重要な単元です。ここで理解を深めておくことが、その後の学習をスムーズに進めるポイントになります。
分数は”一つずつ積み重ねる”ことが大切。
「分数の計算では、通分には最小公倍数、わり算では逆数、さらに帯分数を仮分数に直すなど、さまざまな知識や技術が必要になります。一度にすべて覚えようとすると混乱してしまうので、一つひとつ理解しながら、計算問題を繰り返し解くことが大切です。」―― 名探偵コナンゼミ 教材担当
分数は、「やり方を覚えたから終わり」ではなく、繰り返し問題を解くことで少しずつ定着していく単元です。毎日の積み重ねが、計算への自信につながります。
分数の学習。家庭では「どこで止まったか」を見つけてあげよう
分数の問題で間違えたときは、答えだけを見るのではなく、「通分まではできていたかな?」「約分を忘れていたかな?」など、どの段階でつまずいたのかを一緒に確認してみましょう。
「分数が苦手」と一言でいっても、原因はお子さんによってさまざまです。苦手なポイントを細かく見つけて、一つずつできることを増やしていけば、「難しい」という気持ちも少しずつ和らいでいくでしょう。
小学生が苦手になりやすい算数⑤【速さ】「公式を覚えたのに解けない」のはなぜ?

「速さ」は、小学生だけでなく、「自分も子どものころ苦手だった」というおうちの方も多い単元ではないでしょうか。
「道のり」「時間」「速さ」という3つの数字が登場し、問題によって求めるものが変わるため、「どれをかけて、どれをわればいいの?」と混乱してしまうお子さんは少なくありません。
公式を丸暗記したつもりでも、問題の形が少し変わるだけで手が止まってしまうのは、「公式」だけを覚えていて、その意味まで理解できていないことが原因の一つです。
しかし、速さは中学校以降の数学だけでなく、理科や日常生活でも考え方を使う場面が多い単元です。苦手意識をそのままにせず、「なぜこの式になるのか」を理解することが大切です。
速さの公式、まずは一つの式をしっかり覚えましょう
「速さの学習では、『時間・道のり・速さ』のどれをかけ算して、どれをわり算するのか分からなくなるお子さんが多く見られます。まずは『道のり=速さ×時間』という式をしっかり覚えましょう。『速さ』を求めるなら『道のり÷時間』、『時間』なら『道のり÷速さ』と、自然に考えられるようになります。」―― 名探偵コナンゼミ 教材担当
さらに、式だけではイメージしにくい場合は、具体的な数字で考えてみるのもおすすめとのこと。
「例えば『100kmの道のりを、時速50kmで走ると2時間』というように、実際の場面を思い浮かべると、式の意味が理解しやすくなります。」―― 名探偵コナンゼミ 教材担当
数字だけを見て覚えるよりも、身近な場面と結び付けることで、考え方が定着しやすくなります。
家庭では「図やイラスト」で見える化して、「道のり」「時間」「速さ」を理解しよう
速さの問題では、文章だけを読んで考えるよりも、「道のり」「時間」「速さ」の関係を線分図やイラストで描いてみると、何を求める問題なのか整理しやすくなります。
また、お出かけのときに「あと30分で着くね」「今は時速何kmくらいかな?」など、普段の会話に取り入れるのもおすすめです。
算数で学んだことが実生活につながっていると実感できると、「難しい公式」ではなく、「身近な考え方」として理解しやすくなるでしょう。
小学生が苦手になりやすい算数⑥【展開図】「頭の中で考える」より、実際に作ってみよう
「展開図は何度見てもよくわからない」「どの辺とどの辺がくっつくの?」——展開図は、算数の中でも苦手意識を持つお子さんが多い単元の一つです。
その理由は、平面に描かれた図から、立体を頭の中でイメージする力(空間認識力)が必要だからです。紙の上では理解できたように見えても、実際に立体を組み立てる場面になると、「思っていた形と違った」ということも少なくありません。
小学4年生では立方体や直方体の展開図を学び、5年生では角柱や円柱など、さらに複雑な立体へと学習が発展していきます。ここで立体をイメージする力を身につけておくことは、その後の図形問題にも役立ちます。

展開図は”手を動かす”ことが理解への近道!
「立体を平面上に表す作業を頭の中だけで考えるのは、お子さんにとって簡単ではありません。展開図を理解するには、実際に紙を切って組み立ててみることがとても効果的です。例えば、サイコロ(立方体)の展開図を描いて組み立ててみると、『この面とこの面がつながるんだ』ということが自然とイメージできるようになります。」―― 名探偵コナンゼミ 教材担当
立方体の展開図には全部で11種類あります。さまざまな形を実際に組み立ててみることで、「どんな形でも立方体になるんだ」という発見があり、空間認識力も少しずつ育っていきます。
家庭では「工作」の時間に変えるのがおすすめ。
展開図の学習は、机に向かって問題を解くだけではありません。
紙や厚紙を使って箱やサイコロを作ったり、お菓子の箱を開いて「どうやって組み立てられているのかな?」と親子で観察したりするだけでも、立体への理解は深まります。
「勉強をしよう」と構えるよりも、「工作を楽しもう」という気持ちで取り組むことが、展開図への苦手意識を減らすきっかけになるかもしれません。
算数の苦手は「できない」ではなく「つまずいている場所」があるだけ
ここまでご紹介したように、小学生が苦手になりやすい算数の単元には、それぞれつまずきやすい理由があります。
例えば、九九はその後の計算の土台となり、わり算や分数、小数へと学習がつながっていきます。また、速さや展開図のように、「考え方」や「イメージする力」が求められる単元では、一度つまずくと苦手意識を持ちやすい傾向があります。
一方で、苦手な単元があるからといって、「算数が苦手な子」と決まるわけではありません。
大切なのは、「どこでつまずいているのか」を見つけ、一つひとつ理解を積み重ねていくことです。毎日の積み重ねは小さくても、「わかった!」「できた!」という経験が増えることで、算数への自信は少しずつ育っていくはずです。
苦手単元の克服には、自分のペースで繰り返し学べる環境づくりも大切

算数の苦手を克服するためには、「わかった」で終わらせず、「一人で解ける」まで繰り返し取り組むことが大切です。しかし、おうちの方が毎日学習内容を確認したり、お子さんに合った問題を用意したりするのは、なかなか大変なものです。
名探偵コナンゼミでは、学年ごとの学習内容はもちろん、つまずきやすい単元も段階的に学べるよう教材を設計しています。理解しやすい解説に加え、繰り返し演習することで、「知っている」から「自分で解ける」へと力を伸ばせるのが特長です。
また、1か月分から自由にワークブックが選べるので、今回のように、苦手単元だけを学びなおしたい、というニーズにもぴったりです。ぜひ、活用してみてください。






